Monday, October 17, 2011

日本の大新聞の死:オリンパス買収劇のきな臭さを最初にスクープしたのはFACTA

日本の大新聞は相変わらず、オリンパスに気兼ねしながらの報道。大体、海外メディアに出し抜かれたどころではなく、もう3ヶ月前に週刊誌がすっぱ抜いていた企業の大スキャンダルを全くスルーしていたという事実には驚きを隠せない。といいたいところだが、実は、もう有り余るくらいに類似のケースを見ているので、ちっとも驚かなかった。東電の件といい、日本の大新聞が大本営報道という世論操作と政府・企業広報の道具と化してしまっていることは明らかなようだ。FACTAのスクープはもと日経新聞記者の阿部氏。ジャーナリズムは新聞をやめてからでないと無理なようだ。


FACTAの8月号のカバーストーリーは:


オリンパス 「無謀MA」巨額損失の怪
零細企業3社の買収に700億円も投じて減損処理。連結自己資本が吹っ飛びかねない菊川体制の仮面を剥ぐ。
内容はFACTAのオンライン版で読むことができます:リンク


ここで興味深いのは、今回、菊川会長に突如解任されたウッドフォード前社長が、そもそも自分が取締役会に加えられる前にあった海外企業買収に興味を持った理由だ。この辺の事情は米紙ウォールストリート紙が書いているが、FACTAのスクープを見て、詳細な調査を決心したようだ。


日本語版から関係箇所を紹介したい。記事へのリンクはここ


同氏によると、菊川氏との決裂につながった疑念が生じたのは7月、月刊誌「FACTA」がオリンパスによる日本の小企業3社の買収について疑問を呈したと きだった。この3社は2006年から08年にかけて約700億円で買収された。1社は「ヒューマラボ」というフェースクリームやサプリメントなどのメー カーで、それ以外の2社は、医療廃棄物のリサイクルを行う「アルティス」と、電子レンジ用容器のメーカー「NEWS CHEF」だ。同誌は、売り上げも少なく、特に際立って価値のある資産があるわけでもない非上場企業に対して、オリンパスがなぜ大金を支払うのか不可解だ としていた。

FACTA発行人であり、元日経新聞記者の阿部重夫氏はFACTA8月号の記事以前にオリンパス会長にインタビューを申し込み、当然ながら断られる。阿部氏がオリンパスに宛てた書面には一つ重大な事実が隠されている。日経新聞系列の愛知テレビ社長を退任した人物来間紘氏)が、オリンパスの取締役におさまっていることだ。日本において、企業とメディアの癒着がどのように起こるのかがよくわかる。

FACTAleaks――オリンパスへの公開質問状と宣戦布告

2011年07月15日

念のために申し上げましょう。日本経済新聞系のテレビ愛知社長を退任した来間紘氏が、オリンパス取締役に就任されました。来間氏は小生の尊敬する先輩で す。菊川会長以下の経営陣の方々は、FACTAおよび小生がどういうジャーナリズムかをご存じでなければ、来間取締役にお尋ねください。
http://facta.co.jp/blog/archives/20110715001009.html



今年の4月からの学習指導要綱では、小学校で新聞を教材にしての授業などを行うことにしたようだが、先のある子供たちに、「善意を装い悪とつるむ」かのごとくの日本の大新聞を読ませることに、私は大反対だ。